老舗の事業承継

老舗の定義はいろいろあり、一概には言えませんが東京商工リサーチによると創業から30年以上事業を行っている企業となっており、30年事業が続いている企業は「老舗」と名乗ってもよいかと思います。
創業から70年続いているフューネもこの定義からすれば、「老舗」です。
老舗の事業承継がすごい点は、単に「会社が続く」というだけでなく、その背景にある歴史、文化、そして何よりも「想い」が世代を超えて受け継がれていくことに尽きると思います。
時間が育んだ「信頼」と「ブランド力」の継承は「歴史」というブランドを構成する要素に当てはまり、これだけは新鋭の企業は真似ができません。
老舗企業を継承する継承者はこの時間が育んだブランド力を大切にしなければ、老舗の継承者としては不適格です。

また、老舗企業は、過去の経済変動や社会の変化、幾多の困難を乗り越えてきました。その過程で培われた危機管理能力や変化への対応力、組織としての resilience(回復力)は、事業承継後の不確実な時代を生き抜くための大きな糧となります。
このノウハウは老舗企業の持つ素晴らしいノウハウです。
継承者はこのノウハウがお金では買えない無形の財産であることを認識しなければなりません。
例えば、2020年より襲われたコロナ禍では京都人気観光名所も全くと言っていい程、観光客がいませんでした。古くから続く京都のお土産屋さんや料理屋さんも壊滅的な売上減という災難に見舞われましたが、全く慌てませんでした。戦争や災害などを体験していた老舗企業はこれまでに培った危機管理能力発揮し苦難を乗り越え現在もますます繁栄しています。
慌てたのはインバウンド需要を当てにして新規開業した企業でした。危機に対するノウハウも資金力も無くコロナ禍の最中に廃業してしまった企業はたくさんあったのです。


後継者は単に事業を引き継ぐだけでなく、先代の築き上げてきた「歴史や伝統」、そして何よりも「想い」を受け継ぐという強い責任感を持ちます。
老舗企業であればあるほどその責任は重いのですが、これから会社を起業し創業する人からとってみればとても羨ましいことなのです。


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