戦後70年とお葬式

戦後70年の節目の今年は改めて「戦争とは?」「平和とは?」

ということを考えさせられる企画がメディアを通じて行われています。

同時に国会では安保法案についての審議は大揺れであり、法案が

通ることでまた悲惨な戦争に巻き込まれるのではないかという

国民の疑心が大きなうねりとなっています。憲法の解釈上で行われて

いる専守防衛の考え方は正しいと思いますが、約70年前にはなかった

大陸間弾道ミサイルなどの現代の兵器の前ではやられたら国が一瞬で

滅んでしまうほどの威力の中で、自分自身が自ら守ることの必要性は

あるのでしょう。難しい問題だとは思いますが、

「平和」はタダであるという考え方だけは間違った解釈だと

思います。



戦時中に日本国民が払った大きな犠牲の上で成り立っている現代の

平和は金銭的価値ではなかなか支払うことは出来ないのでないのでは

ないでしょうか。それでもその苦労に報いる為に支払った退役軍人に

対する恩給の仕組みはやがて公的な年金制度になり、今はその制度すら

疲労しています。戦後70年とは戦後間もなくの頃の時代背景とは全く

変わっているのに憲法を含めてその頃の制度が何も変わらないことに

諸問題があるのです。




戦時中のお葬式は遺族の方にとって大変心残りのものでした。

極端に物資が不足する中、大切な方を失っても満足に弔いが出来な

かったのです。お棺すら手に入らなくて、ご遺体に油を直接撒いて

野焼きで火葬したり、仏壇はミカン箱のようなダンボールで代用

したりという現実でした。それでもまだ供養をされた方はまだ良い

ほうで、身元不明者や路上で野垂れ死なども多数いた現状です。

戦後、満足に供養できなかったという多くの国民の不満が

「祭壇は立派に」「町内・友人・知人多く参列して貰う」

「お棺は立派に」「食事は豪華に」「お寺様をたくさん呼ぶ」


というニーズが生まれ、戦後復興・高度成長期に葬儀は派手になって

いったのでした。

その流れの中で昭和のバブル経済で日本のお葬式の文化はピークに

達し、日本各地でお金をかけた葬儀が行われていました。

現代の大手と呼ばれる葬儀社は少なからずこの時代の恩恵を受け、

その原資で勢力を拡大していったのも事実なのです。

言ってみれば、戦後の葬儀文化の隆盛は戦時中の供養の出来なかった

ことの不満の裏返しなのです。



戦争を知らない世代ですら、還暦を迎え、70歳近くになった現代の

喪主たちは当然、戦中の供養に対する不満など抱いている訳では

ありません。不満がない人にとって葬儀を必要以上に華美にする

必要性は全く感じないのでしょう。結果的に現代の葬儀のニーズが

「質素に」「集団ではなく個で」という流れになっているのは一言で

言えば現代の世情なのです。




これまでのお葬式の流れですら、戦争とは無関係ではありません

でした。平和の時代が続くと供養すら質素に、そして供養出来ないと

いうことが考えられなくなるのです。但し、東日本大震災の時に

多くの被災者が満足に供養できなかった不満は戦時中に多くの方が

感じた不満と共通するものがあったのです。

結果的に被災地では供養やその後の葬儀に対しては戦後の日本と同じ

ようなニーズが生まれているのです。










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三浦 直樹

株式会社 FUNE (フューネ)代表取締役

1975年、愛知県豊田市生まれ。
2005年、株式会社FUNE (フューネ) の代表取締役に就任。
(株式会社ミウラ葬祭センターが社名変更)
2代目社長として経営回復、葬祭関連事業の 拡大を図る。
2024年、創業70周年を迎える。

代表就任以来「感動葬儀。」をテーマに掲げ、サービスの向上に努めた結果、2011年には週刊ダイヤモンド誌調査による「葬儀社350 社納得度ランキング (2月14日発売)」で全国第1位に。

一方、 葬祭業者のための専門学校「フューネ クリエイトアカデミー」を設立するなど、葬祭の在り方からサービスに至るまで、同業他社への発信を続ける。

終活のプロ、 経営コンサ ルタントとしても全国で講演多数。
著書に『感動葬儀。 心得箇条』(現代書林)、『間違いだらけの終活』(幻冬舎)、『2代目葬儀社社長が教える絶対に会社を潰さない事業承継のイロハ 代替わりは社長の終活』(現代書林)がある。

●好きな食べ物:和牛
●嫌いなもの:イクラ・泡盛


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