企業文化を作れれば同業他社との競争に優位に立てる
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今から20年前、私が社長に就任した頃は弊社は「下駄箱に靴を入れることの出来ない」社員の集団でした。今ではさもあたりまえのように自分の靴が下駄箱に綺麗に並んで入っていますが、「下駄箱に靴をしまえ」と業務命令を下しても、結局のところ全社員が靴をしまうことが出来るようになったのは社長に就任してから5年の歳月が経っていました。
たった「靴をしまう」という行為でも命令しただけでは簡単ではないのです。
下駄箱にしまわずに脱ぎ捨ててある靴を時には捨ててしまうといったことをしてでも、「下駄箱に靴をしまえ」ということを脱ぎ捨ててある靴を発見する度に繰り返し繰り返し言い続けることで5年後にやっと社員の皆さんがルールを守ってくれるようになったのです。
「下駄箱に靴をしまえ」というのは弊社のルールであり、社員が守るべき規律です。
規律をいやいやでも何でも守ることでやがて「習慣」に変わってきます。
「習慣」が自分自身の中で定着してくると出来ていない他人に違和感を感じるようになります。
そして、「習慣」が出来た社員がある一定の割合までくると「文化」となるのです。
「文化」となると上長の指示や命令無しに勝手に組織の所属する人が規律を守ってくれる状態となります。
これが「企業文化」と呼ばれるものです。
一旦、「企業文化」が出来てしまえば、簡単に壊れることはありません。
逆にある項目が企業文化になっていない企業と企業文化として出来上がっている企業とではクオリティーが大きく異なります。
この差が同業他社との差別化に繋がることになり、ビジネス上ではとても優位になります。
企業文化を作るのは忍耐が必要です。性急に作ろうと思っても失敗します。時間はかかります。
それでも、企業文化は会社存続においてとても重要なことですから経営者は「作る」ことから逃げてはなりません。
事業承継においては「企業文化」も継承の大事なアイテムです。
しかしながら、後継者が「企業文化」の価値を理解しないで破壊してしまう最悪な事業の継承もあるのです。