何もかも省いてよいのか

お葬式の簡素化の流れは止まりそうにありません。
コロナ禍がきっかけだったとはいえ、時代のニーズに合っているからでしょう。
簡素化が進むのは、従来の一般葬の在り方に対して多くの人たちが疑問を抱いていたからなのではないでしょうか。
「初めて喪主を務めるけれど、戒名やお葬式に100万円も200万円もかかると聞いて、ちょっと心配」
「看病で疲れているのに、通夜や葬儀の準備、多くの参列者への応対、葬儀後のお礼など考えるだけで大変」
内心このように思っていても「お葬式とはそういうもの」という刷り込みもあり、一般葬を主張する親族と揉めてまで簡素なお葬式を選ぶ人は限られていたのかもしれません。


しかし、コロナ禍で家族だけでの簡素なお葬式を体験してみると、精神的負担も経済的負担も少なくて済み、「お葬式は家族葬でいいのでは」となったのではないでしょうか。
そして、「お葬式はどこでも内容は一緒だから、できるだけ価格の安いところで」と考える人が増え、今ではスマホで葬儀社を検索して価格を比較して選ぶことは決して珍しいことではありません。
お葬式は、スーパーなどで売られている洗剤やトイレットペーパーのような「どこのメーカーでも同じ消耗品」と同一視されてしまったのです。
安さだけが勝負になれば、総額を抑えるために省けるものは省くことになります。
通夜を省き、親族や故人の友人、知人を呼ばず、宗教者も招かず、戒名もなし。祭壇も棺も低価格の物を選び、精進落とし(お葬式の後でいただく料理)もなし……。
私は故人や喪主の宗教観は人それぞれなので、さまざまなものを省くのはかまわないと思います。しかし、通夜や精進落としの意味も知らず、ただ価格を抑えるためにだけ何もかも省いてしまうのはどうなのでしょうか。
大切な家族を弔うというのはどういうことなのか。お葬式の本質を考えたうえで、何を省くのかを決めるべきなのではないでしょうか。


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三浦 直樹

株式会社 FUNE (フューネ)代表取締役

1975年、愛知県豊田市生まれ。
2005年、株式会社FUNE (フューネ) の代表取締役に就任。
(株式会社ミウラ葬祭センターが社名変更)
2代目社長として経営回復、葬祭関連事業の 拡大を図る。
2024年、創業70周年を迎えた。

代表就任以来「感動葬儀。」をテーマに掲げ、サービスの向上に努めた結果、2011年には週刊ダイヤモンド誌調査による「葬儀社350 社納得度ランキング (2月14日発売)」で全国第1位に。

一方、 葬祭業者のための専門学校「フューネ クリエイトアカデミー」を設立するなど、葬祭の在り方からサービスに至るまで、同業他社への発信を続ける。

終活のプロ、 経営コンサ ルタントとしても全国で講演多数。
著書に『感動葬儀。 心得箇条』(現代書林)、『間違いだらけの終活』(幻冬舎)、『2代目葬儀社社長が教える絶対に会社を潰さない事業承継のイロハ 代替わりは社長の終活』(現代書林)がある。

●好きな食べ物:和牛
●嫌いなもの:イクラ・泡盛


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