事業承継における人事権のお話し
事業承継で受け継ぐものの中で、強烈な権限と言っても過言ではないのが
「人事権」です。組織の中で人事の権限を持つことはその組織を事実上
掌握していることになります。
ですから、強烈であり絶対に正しい使い方をしなければならない権限です。
事業承継の時に先代から人事権を受け継ぐと組織内で様々な動きが
起きるものです。
これまで燻っていた社員が突然やる気を出したり、先代からの古参の社員
が反発し、時には退職をしたりということも起きます。言ってみれば事業承継の
副作用のようなものですが、この副作用を最大限利用をしなければ、勿体ない
のです。加えて言えば副作用をうまく処理をしなければ後継者として信頼も
勝ち取れないののです。
そもそも人事というものはとても難しいものです。
なぜならばその人の能力に合わせて適材適所に配置することが良いとは
限らないからです。確かに適材適所に人員を配置することは組織全体の
現在のポテンシャルを最大限発揮することが可能なのですが、それでは
現在は良くても未来を描くことが出来ないのです。
将来を期待する人物に期待する能力を身に着ける為に人員を配置し、
その人の潜在能力を引き出すことをしてやっていかなければ組織全体の
成長が見込めないのです。
さらに、個々の能力はベストでなくても、重視しなければならないのは
人間的な信頼性や人と人の相性であったりするからです。
人事が難しいのは様々な要因をパズルのように組み合わせるスキルが
経営者に必要だからです。
人事権を正しく適正に使用することは後継者がしなければならない大前提の
能力ですが、人事権は後継者として先代からのカラーを変えることができる
劇薬です。
上手に使用することが結果的に後継者のブレーンを作り上げていくのです。